住む場所で変わる気質も
タイ・バンコクではのんびり
 日本人は、勤勉である。日本人は、真面目で、神経質である。人には優しい、というか、お人よしなところがある。これが、多くの外国人から見た日本人の評価であるような気がする。
 ところが、日本人は住む場所によって、その雰囲気も変わってしまうようだ。
 以前、タイ・バンコクに住んでいたとき、ここの日本人は、とても「のんびり」としているように感じた。
 ところが、アメリカ、ロサンゼルスの日系スーパーに勤務しはじめたとき、ここの日本人は、よく動くなあ、と思ったのだが、これはバンコクとの比較で考えていたからだろうか。
 今でも、忘れもしないことなのだが、バンコクに行って、半年ばかりたったときの大晦日に、アメリカ西海岸から転勤してきたという日本人ビジネスマンと話をする機会があった。
 そのときの彼のタイ人に対する辛口評価は、聞いているこっちも閉口したくらいだった。
 しかし、数カ月もすると、私の勤務するスーパーに買物に来るそのビジネスマンは、どんどん穏かな雰囲気に変わっていった、というようなことがあった。
 バンコクでは、たいがい「タイ人」を使う立場の日本人が多かったのに対して、ロサンゼルスでは使われる立場の日本人が圧倒的に多い、ということも関係しているかもしれないとも思った。

ロスでは日本人同士が一緒に行動することが少ない
 また、バンコクでは日本人同士が一緒に行動することがほとんどだと思うのだが、ロサンゼルスでは意識してかしないでか、あまり日本人同士で行動することは少ない。特に、夜の「飲みニケーション」において、その違いは顕著である。
 バンコクには無数の「居酒屋」「ナイトクラブ」があるのに対して、ロサンゼルスでは普通の「レストラン」はあっても、いわゆる「日系の飲み屋」は、そう多くはない。
 一つには、ロサンゼルスが、公共交通機関が著しく発達していない。つまり移動の主な手段は「自家用車」で、お酒を飲んだが最後、「酔っぱらい運転」をせざるを得ない、という事情もあるようだ。
 アメリカは、日本がそうなるはるか前から「飲酒運転」には厳罰が処され、犯罪行為であるとみなされるからなおさらだ。
 ほかの特徴としては、バンコクに住む日本人は、ニコニコしている人が多いように思う。
 タイ人が、子供の教育で一番大切にすることは、「いつも笑顔でいなさい」というもので、これに影響を受けているのだろうか。「微笑みの国、タイランド」に住む日本人もまた、影響を受けるのだろうか。

ロスでは自己主張が強くなる傾向に
 ロサンゼルスの日本人は、日本にいる日本人よりも、自己主張が強いような気がする。というのは、それぞれが個々人の責任の所在を明確にしようとするからだ。
 部下が問題を起こせば、すなわちその直属の上司が責任を取る、というのが日本式だが、ロサンゼルスでそれをやっていては、とても身がもたない。
 すべてのことに「訴訟」がからんでくるので、「誰の責任か」ということは、特に職場においては明確にすることが必要だ、という背景がある。
 私自身、それで失敗したこともある。自己主張が強くなる、という傾向も、ロサンゼルスに住んでいる日本人の特徴の一つかもしれない。
 このように、日本人という特質を持ちながらも、住むエリアによって、ずいぶんとその雰囲気は変わってしまうように思う。私のように、バンコクとロサンゼルスで同じように日系スーパーに勤務していても、働く日本人の雰囲気がこうも違うと感じるくらいなのだから。