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思いやりの音楽
 雅楽、この言葉を聞いて皆さんが思い浮かべることは何でしょうか。
 いつも私たち信者が参詣日の御式や大祭で耳にする親しみのある音楽です。またそれと同時に、宮中行事には欠かせない日本独自の音楽芸術でもあります。
 雅楽は、世界で最も古い完成された音楽芸術として千数百年の歴史と伝統を持つ音楽です。演奏形式は主に「管弦」「舞楽」「歌謡」といった形に分けられるとされています。
 雅楽での楽器演奏のことを「管弦」といいます。現在一般的にオーケストラのことを管弦楽団といっていますが、なんとこれは雅楽の「管弦」からの訳語だというのです。
 さらに興味深いことは、雅楽の管弦の演奏にはオーケストラの指揮者にあたる存在がありません。しかし、その演奏は調和よく、よどみなく進められていきます。ではなぜそのようなことが可能なのでしょうか。それは雅楽が思いやりの音楽であるからだといいます。
 東洋と西洋音楽の大きな違いの中で最も大きなものが「間」だといわれます。もちろん西洋音楽にも「間」はあります。それは指揮者一人の意志でその「間」を調整していますが、東洋、とりわけ日本の音楽は本来は演奏の中で存在してほしくない「間の個人差」を逆に有効活用し、一人の意志による調整や統一ではなく演奏者全員の持つ個性を最大限に表現し合う音楽として成立し成功しています。
 ここで見えてくるものは、お互いの持つ個性を尊重し、お互いに思いやるまさしく日本精神の心です。
 皆さんも雅楽の中に息づく調和の心に思いを馳せ、御式や大祭に参列の際、雅楽を聴いてみてはいかがでしょうか。
(富)