その8つの提言を次に紹介したい。
1.リーダーシップ
 政治家と官僚が癒着して官僚政治になっている。この原因は首相にリーダーシップがないからである。また、直接選挙で首相が選出されないので、国民の支持が得られていないことも要因。今の日本は経済大国でありながら、必ずしも世界から尊敬されていない。
2.地方分権
 中央集権から地方分権への移行が必要。現在の制度では知事や地域のリーダーが実力を発揮できない。権限も財源も移譲できるものは移譲し、地方新県体制の確立を。
3.人材の育成
 資源のない日本が世界で活躍するには、人材の育成こそが大切。戦後のアメリカ式の教育から脱却し、私が受けた戦前の教育を見直し、品格のある人物を育てるべきである。日本文化の精神性、美意識は世界に誇るべきものである。
4.外交政策
 敗戦を引きずった自虐的、自己否定的な外交、卑屈な外交では世界から嘲笑されるばかり。アメリカや中国のいいなりではいけない。自主独立の気概を持ち、堂々たる外交を展開すべきである。
5.憲法改正
 自衛隊はアメリカのいいように利用されているだけである。これは憲法(特に9条)に起因している。先の選挙でも憲法については一切論じられていない。そのため国民も無関心である。
 憲法が60年も改定されていないのは異常なこと。国家の根幹である憲法をなおざりにすれば、遠からず日本は衰退する。
6.日米同盟
 民主党が米国との間で対等な関係を築こうとしていることは評価できる。今日、世界情勢はアメリカの一国支配から多極的な世界へと移りつつある。盲目的なアメリカ追従をやめ、日米同盟のあり方を根本的に見直す必要がある。
7.日台の友好
 日本にとって台湾は地政学的に重要な位置にある。日台交流の強化は両国にとって有益である。
8.経済の再建
 日本は経済の立て直しが必要である。しかし、日本には個人の莫大な金融資産があり、この資産が市場に流れるような仕組みが必要である。そのためには年金や社会保障の充実が不可欠である。

 こうして、日本への熱いメッセージを送った李登輝氏には、満席の会場から万雷の拍手が送られ、いつまでも鳴りやむことはなかった。
 大筋では、とても素晴らしい内容ではあるが、2大政党制、首相の公選制などについては、御教えと照らし合わせて考える必要があると思う。